はじめに
肩こりと聞くと「姿勢の悪さ」「筋肉の疲れ」などが原因と思われがちですが、実は自律神経の乱れも密接に関係しています。
「肩がこると頭がボーッとする」「肩こりと一緒に動悸やめまいが出る」 このような症状がある方は、自律神経の働きに注目する必要があります。
この記事では、整形外科医の視点から、
- 肩こりと自律神経がどのようにつながっているか
- なぜ自律神経が乱れると肩がこるのか
- 整えるための対策とケア方法 をわかりやすく解説します。
【1. 自律神経とは?】
自律神経は、私たちの意思とは関係なく、体の機能を自動で調整する神経系です。
✅ 2つの神経でバランスをとる
- 交感神経:緊張・活動モード(昼・ストレス時)
- 副交感神経:リラックス・回復モード(夜・休息時)
この2つがバランスよく働くことで、血圧・脈拍・呼吸・内臓の働き・筋肉の緊張などが正常に保たれています。
【2. 自律神経が乱れると肩こりになる理由】
✅ 交感神経が優位になると筋肉が緊張
ストレスや不安、長時間の緊張状態が続くと、交感神経が過剰に働き、
- 血管が収縮 → 筋肉への血流低下
- 筋肉が硬くなる → 疲労物質がたまる
これにより、首や肩の筋肉に慢性的なこりが生じます。
✅ 緊張型頭痛や頚性めまいも起きやすくなる
筋肉の緊張が長引くことで、
- 緊張型頭痛(後頭部・側頭部の重さ)
- 頚性めまい(ふわふわ感・不安定感) などの症状を併発することもあります。
【3. 肩こりが原因で自律神経が乱れることも】
逆に、慢性的な肩こりが続くことで、自律神経の働きが乱れることもあります。
✅ 慢性痛とストレスの関係
- 痛みが続くと、交感神経が常に興奮状態になる
- 睡眠の質が低下し、副交感神経の働きも弱まる
- 結果として、疲労感・動悸・冷え・便通異常などが現れる
つまり、肩こりと自律神経は「双方向」に影響を与え合うのです。
【4. 自律神経を整える肩こりケア】
✅ 深呼吸・呼吸法
- ゆっくり鼻から吸い、口から長く吐く
- 1セット5回、1日2〜3回を目安に
→ 呼吸を整えることで、副交感神経が活性化し、筋肉の緊張を和らげます。
✅ 入浴・温熱ケア
- 38〜40℃のお湯に10〜15分浸かる
- 肩や首に温タオルを当てる
→ 温熱刺激は血流を促進し、交感神経の興奮を鎮める効果があります。
✅ ストレッチと軽い運動
- 肩甲骨を寄せる運動
- 首の後ろを伸ばすストレッチ
- ウォーキングなどのリズム運動
→ 筋肉の緊張をやわらげ、セロトニン分泌を促進し、自律神経のバランスを整えます。
【まとめ】
肩こりと自律神経の関係は、
- 交感神経の過活動 → 肩こり
- 肩こりの慢性化 → 自律神経の乱れ という「悪循環」を形成しやすいのが特徴です。
姿勢や筋肉だけでなく、神経・血流・精神状態にも目を向けることで、肩こりの根本的な改善に近づきます。
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