はじめに
「朝起きたら、首や肩が痛い…」 「寝たのに疲れが取れていない…」
そんな肩こり症状、もしかすると**“枕の高さや形”が原因**かもしれません。
この記事では、整形外科医の視点から、
- 寝起きの肩こりがなぜ起こるのか
- 枕選びで注意すべきポイント
- 理想的な枕の高さ・素材・使い方 について、わかりやすく解説します。
【1. なぜ寝起きに肩こりが起こるのか?】
✅ 原因は「首の角度」と「筋肉の緊張」
寝ている間、本来は身体の筋肉はリラックスしているべきですが、 枕が合っていないと首が不自然な角度になり、
- 僧帽筋や肩甲挙筋が引き伸ばされたまま
- 首の後ろが浮いて筋緊張が持続
- 頚椎の自然なカーブが失われる といった状態になり、睡眠中に肩こりが進行してしまうのです。
✅ 特に注意すべき寝姿勢
- 高すぎる枕 → 首が前屈しすぎて気道も圧迫
- 低すぎる枕 → 頚椎が過伸展し、筋肉が緊張
- 横向き時に枕が低すぎる → 肩が押しつぶされて痛み
▶ 整形外科的補足: 頚椎は生理的前弯(S字カーブ)があるため、その自然な形を保つサポートが必要です。枕の高さ・形状・素材がこの“頚椎の支持”に合っていないと、筋肉・関節への負荷が睡眠中も継続してしまいます。
【2. 理想的な枕の条件とは?】
✅ 高さ:寝姿勢によって変える
- 仰向け時:首の後ろにフィットし、あごが上がらない高さ
- 横向き時:首から背骨までが一直線になるように、肩の厚み分の高さが必要
✅ 硬さ:柔らかすぎず、沈み込みすぎない
- 首・後頭部をバランスよく支える適度な反発力が必要
✅ 素材:通気性と安定感のあるものを
- ウレタン・パイプ・低反発・高反発など好みに応じて
- 汗をかきやすい人は通気性重視がおすすめ
▶ ヒント: 複数の高さに調整できる“パーソナル枕”や、首元のカーブをサポートする“波型枕”などが理想に近づけやすいです。
【3. 枕の正しい使い方・合わせ方】
✅ ベッドとの関係も大事
- 柔らかすぎるマットレスは沈み込みすぎて枕の効果が減少
- 枕だけでなく寝具全体のバランスを考える
✅ 試すときは「仰向け」「横向き」両方で
- 横向き寝が多い人は“肩が圧迫されない”かもチェック
✅ 1〜2年に1度は見直しを
- 枕のへたりや生活環境の変化(体型・寝姿勢)で合わなくなることも
【4. 朝の肩こりが続くときの対策】
✅ 起きた直後に軽いストレッチ
- 首の後ろをゆっくり伸ばす
- 肩を回して血流を促す
✅ 寝具や寝姿勢の見直し
- 枕を変えるだけで症状が劇的に改善するケースも多い
✅ 医療機関の受診を検討
- 枕を変えても改善しない肩こりは、頚椎症や自律神経の乱れが背景にあることも
- 一度、整形外科やリハビリ科で相談を
【まとめ】
寝起きの肩こりは、単なる疲労ではなく、枕の高さ・形状・寝姿勢の不一致が原因となっているケースが多く見られます。
- 頚椎の自然なカーブを保てる高さ・硬さ
- 仰向け・横向き両方に対応できる形
- 寝具全体とのバランス を意識して、自分に合った枕を見つけることが、快適な睡眠と肩こり予防の第一歩です。
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