はじめに
「肩こりがひどくなると、ふわふわした感じや立ちくらみが起きる」 「耳鼻科では異常がないと言われたのに、めまいが続いている」
その“めまい”、実は肩こりと深い関係があるかもしれません。
本記事では、整形外科医の視点から、
- 肩こりとめまいがなぜ関係するのか
- どのようなタイプのめまいが多いか
- 予防・対処法 について解説します。
【1. 肩こりが原因で起こる「頚性めまい」とは?】
✅ 頚性(けいせい)めまいとは
頚椎(首の骨)周辺の筋肉や関節の異常が原因で、自律神経の乱れや血流低下を引き起こし、めまいを生じる状態を「頚性めまい」といいます。
耳の異常や脳の病気ではないのに、めまいやふらつきが続く人の中に、このタイプが含まれます。
✅ 主な症状
- ふわふわする不安定感
- 頭を動かすと気持ち悪くなる
- 肩や首のこり、張り、頭重感を伴う
- 吐き気や耳の詰まり感を伴うことも
【2. なぜ肩こりでめまいが起きるのか?】
✅ 原因①:筋肉の過緊張と血流障害
僧帽筋や肩甲挙筋、後頭下筋群などの持続的な緊張により、
- 後頭部周辺の血流が悪化
- 延髄・脳幹部への酸素供給が低下
- 内耳への血流も障害される
これらの影響で、自律神経の調整が乱れ、めまいやふらつきが出現します。
✅ 原因②:姿勢の悪化による頭部位置の変化
ストレートネックや猫背では、
- 頭の重心が前にずれ、頚椎への負荷が増加
- 頚椎の可動域が狭まり、関節・靭帯が刺激を受ける
この刺激が頚部のセンサー(深部感覚)を介して誤った情報として脳に伝わり、バランス感覚の乱れ=めまいにつながると考えられています。
✅ 原因③:交感神経の過緊張
肩こりによる痛みやストレスで交感神経が優位になると、
- 血管が収縮し、脳や内耳の血流が減少
- めまい・耳鳴り・動悸といった自律神経症状が悪化
【3. 肩こり由来のめまいかを見分けるポイント】
✅ 以下に当てはまる場合、頚性めまいの可能性が高いです:
- めまいと同時に、首や肩がこっている
- 安静にしても治らないが、マッサージや温めると軽くなる
- MRIや耳鼻科検査では異常がない
- ストレスや疲労で悪化する
【4. 肩こりによるめまいへの対処法】
✅ ストレッチと体操
- 肩回しや首の後ろを伸ばすストレッチ
- 肩甲骨を動かす体操で血流改善
✅ 姿勢の改善
- デスクワーク中のスマホ首・猫背の見直し
- あごを引き、頭が胴体の真上に乗る姿勢を意識
✅ 温めとリラックス
- 蒸しタオルや入浴で首・肩の血流促進
- 深呼吸・軽い運動で交感神経の緊張を緩和
【まとめ】
肩こりとめまいは、一見別の症状に思えますが、首の筋緊張・血流低下・自律神経の乱れを通じて密接に関係しています。
- 耳鼻科や脳神経科で異常がない
- 首・肩のこりや姿勢の悪化がある そんな方は「頚性めまい」の可能性があります。
日常的な姿勢の見直しやストレッチ、生活習慣の改善を通じて、肩こりもめまいも一緒にケアしていきましょう。
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